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第7章 保育の心理学 ・ レッスン7-1

発達とは何か?乳幼児期の発達の道すじと個人差

約4分 ・ 公開日 2026-10-06

このレッスンの問い

「1歳になっても歩けないのは遅れだ」と、言い切れると思いますか?

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

01発達は「できる・できない」ではなく、過程で見る

保育所保育指針は、子どもの発達を、環境との相互作用を通して資質・能力が育まれていく過程ととらえています。

子どもは、それまでの体験をもとに周りの人やものに働きかけ、その反応からまた学びます。この積み重ねで育つことを、環境との相互作用と呼びます。

指針の解説は、ある時点の「できる、できない」で発達を見る画一的なとらえ方をとらないと述べています。育ちゆく過程の全体を大切にするため、発達過程という語を使います。

指針は、一人一人の発達過程に応じて保育し、子どもの個人差に十分配慮するよう求めています。この章に出てくる月齢や年齢は、すべて目安として読んでください。

02乳児期は、からだと人との絆が大きく育つ

乳児期は、感覚や運動機能が著しく発達し、特定の大人との応答的な関わりを通じて情緒的な絆が形成される時期です。

解説によると、生後4か月頃に首がすわり、その後、寝返り、座る、はう、つたい歩きへと進みます。自分で動けるようになると、身近なものを探る探索活動が活発になります。

6か月頃には身近な人の顔が分かり、あやしてもらうと喜ぶようになります。9か月頃には、指差しや身振りで自分の思いを伝えようとする姿が見られます。

この時期は、体、人との関わり、心の育ちが互いに密接に関わり、まだはっきり分かれていません。そのため乳児の保育は、5領域ではなく3つの視点で示されています。

031歳以上は「自分で」が育ち、3歳以上は仲間の中へ

1歳以上3歳未満は運動機能や言葉とともに自我が育ち、3歳以上は仲間と遊ぶ集団の中で育ちが広がります。

1歳以上3歳未満の時期は、歩き始めから、走る、跳ぶへと運動機能が育ちます。食事や着替えなど身の回りのことも、保育士等の援助を受けながら自分でしようとします。

解説は、自我が芽生え、1歳半ば頃から強く自己主張することも多くなると述べています。思いを受け止めてもらう経験を重ねて、他者を受け入れ始めます。

3歳以上になると、基本的な生活習慣がほぼ自立し、理解する語彙が急激に増えます。仲間の中の一人という自覚が生まれ、協同的な活動も見られるようになります。

時期からだ人との関わり・言葉
乳児(1歳未満)4か月頃に首がすわる。寝返り、座る、はう、つたい歩き6か月頃に身近な人の顔が分かる。9か月頃に指差しや身振りで伝える
1歳以上3歳未満歩く、走る、跳ぶ。つまむ、めくるなど指先が育つ1歳半ば頃から強い自己主張。片言から二語文へ
3歳以上基本的な動作が一通りでき、生活習慣がほぼ自立理解する語彙が急増。仲間との集団的な遊び
乳幼児期の発達の道すじ(時期は目安。保育所保育指針と解説をもとに作成)

あなたの場合は?

同じ年齢の子どもを2人思い浮かべてみましょう。できることや得意なことに、違いはありませんか?

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. 指針は発達を、環境との相互作用で育つ「発達過程」としてとらえる
  2. 乳児期は感覚と運動が育ち、特定の大人との情緒的な絆が形成される
  3. 月齢や年齢は目安。個人差に十分配慮し、一人一人に応じる

TERMSこのレッスンの用語

発達過程Developmental process

子どもの発達を、ある時点の「できる・できない」ではなく、環境との相互作用を通して資質・能力が育まれていく過程としてとらえる保育所保育指針の考え方。

探索活動Exploratory activity

子どもが身近なものを見る、触れる、動かすなどして、自分から周りの環境を探る活動。

自我Sense of self (ego)

自分の思いや欲求をもつ「自分」という意識。保育所保育指針は、1歳以上3歳未満を自我が形成される重要な時期としている。

LESSON 7-1 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. 保育所保育指針が「発達過程」という語を使う理由として、正しいものはどれでしょう?

答えを見る

正解: 1. ある時点の「できる・できない」ではなく、育ちゆく過程の全体を大切にするため
正解は1つめです。解説は、画一的な見方ではなく、それぞれの子どもの育ちゆく過程の全体を大切にする考え方だと説明しています。

Q2. 保育所保育指針解説で、9か月頃の乳児の姿として書かれているものはどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 指差しや身振りで、自分の思いを伝えようとする
正解は「指差しや身振り」です。二語文は1歳以上3歳未満、仲間の中の一人という自覚は3歳以上の姿として書かれています。

日常の場面で考える

Q3. 1歳児クラスで、Aちゃんはもう歩き、Bちゃんはまだつたい歩きです。保育所保育指針の考え方に合う対応はどれでしょう?

答えを見る

正解: 3. 一人一人の発達過程と個人差をふまえ、それぞれに合った環境と関わりを考える
正解は3つめです。指針は、一人一人の発達過程に応じて保育し、個人差に十分配慮するよう求めています。

レッスン7-1はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第7章 保育の心理学 のレッスン一覧
  1. 7-1発達の道すじ
  2. 7-2愛着と安全基地
  3. 7-3ピアジェの発達段階
  4. 7-4言葉の発達
  5. 7-5遊び・社会性と支援

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出典(3件)
  1. 厚生労働省「保育所保育指針」(平成29年厚生労働省告示第117号)第1章・第2章
  2. こども家庭庁「保育所保育指針解説」(序章・第1章)
  3. こども家庭庁「保育所保育指針解説」(第2章1・2)