HOME / ゼロから学ぶ保育士 / 講座 / 第7章 保育の心理学 / 愛着と安全基地

第7章 保育の心理学 ・ レッスン7-2

愛着(アタッチメント)とは?安心の基地が育つしくみ

約5分 ・ 公開日 2026-10-06

このレッスンの問い

初めての場所で、1歳の子が親のそばを離れて遊び出せるのは、どんなときだと思いますか?

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

前のレッスンの復習(1問)

本文に入る前に、前のレッスンを思い出してみましょう。

レッスン7-1から

Q1. 前のレッスンの復習です。保育所保育指針解説で、1歳半ば頃から多くなると書かれている姿はどれでしょう?

答えを見る

正解: 1. 強く自己主張する
正解は「強く自己主張する」です。自我が芽生える時期の姿です。首すわりは生後4か月頃、仲間の中の一人という自覚は3歳以上の姿です。

01愛着とは、特定の人との情緒的な絆

愛着(アタッチメント)とは、子どもが特定の人との間に結ぶ情緒的な絆のことです。

この理論の土台をつくったのは、児童精神科医のジョン・ボウルビィです。1951年には、世界保健機関(WHO)から報告書『Maternal Care and Mental Health』を出しています。

ボウルビィは、愛着を、危険から子どもを守るために進化してきたしくみと考えました。養育者の近くにいることで、子どもは守られるからです。

保育所保育指針解説は、乳児が特定の保育士等との間に愛着関係を形成し、人に対する基本的信頼感を培うと述べています。6か月頃に愛着関係が強まり、見知らぬ人には人見知りもするようになります。

02安全基地があるから、子どもは探索に出られる

心理学者のメアリー・エインズワースは、愛着の対象が、子どもが世界を探索するための「安全基地」になることを示しました。

子どもは、愛着の対象を安全基地にして周りを探り、不安になると安心を求めて戻ってきます。エインズワースは、ボウルビィとともに愛着理論を築いた研究者です。

エインズワースは、1歳児と母親を、ストレンジ・シチュエーション法という約20分・8場面の手続きで観察しました。途中で見知らぬ大人が加わり、母親が部屋を出たり戻ったりします。

子どもは、母親がいるときのほうが、見知らぬ人が来たときや母親がいないときより、活発に部屋とおもちゃを探索しました。1970年にベルとともに報告した結果です。

03再会のときの姿から、愛着の型が見えてくる

エインズワースらは、母親が離れたときと戻ってきたときの子どもの反応から、愛着をいくつかの型に分けました。

安定型の子は、母親が離れると悲しみますが、戻ると喜んで迎えます。回避型の子は、再会しても母親を避けたり、反応が遅かったりします。

アンビバレント型(抵抗型)の子は、くっつきたがる一方で怒り、なかなか落ち着きません。のちに、第4の型として無秩序型も報告されました。

安定型の子の養育者は、子どもの欲求に敏感で応答的だとされています。ただし、子どもの気質や文化の違いが結果に影響するという批判もあり、型で子どもを決めつけることはできません。

型母親と再会したときの主な姿
安定型離れると悲しむが、戻ると喜んで迎える
回避型再会しても母親を避ける、反応が遅い
アンビバレント型(抵抗型)くっつきたがる一方で怒り、なだめにくい
無秩序型(のちに追加)固まる、うろうろするなど、まとまりのない行動
ストレンジ・シチュエーション法で見られる愛着の型(OpenStax『Psychology 2e』とBretherton(1992)をもとに作成)

あなたの場合は?

あなたが初めての場所で落ち着いて動けたのは、どんな人がそばにいたときでしたか?

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. 愛着とは、子どもが特定の人との間に結ぶ情緒的な絆(ボウルビィ)
  2. 愛着の対象は、探索のための安全基地になる(エインズワース)
  3. 保育では、特定の保育士等の応答的な関わりが愛着関係と基本的信頼感を育てる

TERMSこのレッスンの用語

愛着(アタッチメント)Attachment

子どもが特定の人との間に結ぶ情緒的な絆。ボウルビィが理論の土台をつくった。

安全基地Secure base

子どもが周りを探索するときの拠りどころとなる、愛着の対象の存在。エインズワースが示した考え方。

ストレンジ・シチュエーション法Strange Situation procedure

エインズワースが用いた、1歳児と母親の分離と再会を含む約20分・8場面の観察手続き。

LESSON 7-2 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. エインズワースが示した「安全基地」の説明として、正しいものはどれでしょう?

答えを見る

正解: 1. 子どもが愛着の対象を拠りどころにして、周りを探索できること
正解は1つめです。子どもは愛着の対象を安全基地にして探索し、不安になると安心を求めて戻ってきます。

Q2. ストレンジ・シチュエーション法で、愛着の型を分けるときに注目されたのはどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 母親が離れたときと戻ってきたときの子どもの反応
正解は「離れたときと戻ってきたときの反応」です。特に再会したときの姿の違いから、安定型・回避型・アンビバレント型が見いだされました。

日常の場面で考える

Q3. 4月、0歳児クラスに入ったCちゃんは、担当の保育士が見えると落ち着いて遊び、姿が見えなくなると泣き出します。この姿の理解として、最も適切なものはどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 担当の保育士との愛着関係が育ち始め、その保育士を安心の拠りどころにしている
正解は2つめです。指針解説は、愛着の対象である特定の保育士等が視界の範囲内にいることで、子どもの情緒は安定すると述べています。

レッスン7-2はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第7章 保育の心理学 のレッスン一覧
  1. 7-1発達の道すじ
  2. 7-2愛着と安全基地
  3. 7-3ピアジェの発達段階
  4. 7-4言葉の発達
  5. 7-5遊び・社会性と支援

講座の目次(全12章)へ

出典(4件)
  1. Bretherton, I. (1992). The origins of attachment theory: John Bowlby and Mary Ainsworth. Developmental Psychology, 28(5), 759-775.
  2. Ainsworth, M. D. & Bell, S. M. (1970). Attachment, exploration, and separation. Child Development, 41(1), 49-67.(PubMed)
  3. OpenStax『Psychology 2e』9.3 Stages of Development(Rice University)
  4. こども家庭庁「保育所保育指針解説」(第2章1・2)