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第7章 保育の心理学 ・ レッスン7-3考える力はどう育つ?ピアジェの発達段階
約5分 ・ 公開日 2026-10-06
このレッスンの問い
背が高く細いコップの水を、低く太いコップに移しました。3歳の子は「水の量は同じ」と答えると思いますか?
読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。
前のレッスンの復習(1問)
本文に入る前に、前のレッスンを思い出してみましょう。
Q1. 前のレッスンの復習です。ボウルビィは、愛着をどのようなしくみと考えたでしょう?
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正解: 2. 危険から子どもを守るために進化してきたしくみ
正解は「危険から子どもを守るために進化してきたしくみ」です。養育者の近くにいることで、子どもは守られます。
01子どもは、自分で世界の見方をつくり変えていく
心理学者のジャン・ピアジェは、子どもが周りと関わりながら、自分なりの理解の枠組みをつくり変えていくと考えました。
この理解の枠組みを、シェマと呼びます。たとえば「丸いものはボール」というシェマをもつ子は、みかんを見ても投げようとするかもしれません。
新しい経験を今のシェマに取り込むことを同化、シェマのほうを作り変えることを調節と呼びます。このくり返しで、理解が深まっていきます。
ピアジェは、考える力が、年齢とおおよそ結びついた4つの段階で育つと考えました。感覚運動期、前操作期、具体的操作期、形式的操作期です。
02乳幼児期は、感覚運動期と前操作期
保育所の子どもが当たるのは、主に感覚運動期(誕生から2歳ごろ)と前操作期(2歳から7歳ごろ)です。
感覚運動期は、見る、触る、口に入れるなど、感覚と動きを通して世界を知る時期です。見えなくなったものも存在し続けると分かる対象の永続性が、この時期に育ちます。
前操作期は、言葉やイメージで物事を表せるようになり、ごっこ遊びが盛んになる時期です。一方で、見た目が変わっても量や数は変わらないという「保存」の理解は、まだ難しいとされます。
他の人の視点に立つことも難しく、ピアジェはこれを自己中心性と呼びました。わがままという意味ではなく、自分の見え方と他人の見え方を区別しにくいという意味です。
037歳以降の2段階と、年齢は目安という見方
7歳ごろから具体的な事柄を論理的に考えられるようになり、11歳ごろからは抽象的な事柄も考えられるようになります。
具体的操作期(7歳から11歳ごろ)には保存が分かり、水を別の形のコップに移しても量は同じだと理解します。形式的操作期(11歳ごろから)には、仮定の話や抽象的な考えも扱えるようになります。
ただし、ピアジェの考えには後の研究による批判もあります。発達は段階的というより連続的に進むという研究や、ピアジェの考えより早くできることを示す研究があります。
保育所保育指針解説は、1歳以上3歳未満の時期に、玩具を実物に見立てる象徴機能が発達すると述べています。年齢は目安とし、目の前の子が世界をどうとらえているかを見ることが大切です。
| 段階 | 年齢の目安 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 感覚運動期 | 誕生〜2歳ごろ | 感覚と動きで世界を知る。対象の永続性が育つ |
| 前操作期 | 2〜7歳ごろ | 言葉やイメージで表す。ごっこ遊び。自己中心性。保存はまだ難しい |
| 具体的操作期 | 7〜11歳ごろ | 具体的な事柄を論理的に考える。保存が分かる |
| 形式的操作期 | 11歳ごろ〜 | 抽象的な事柄や仮定の話を考える |
あなたの場合は?
小さな子と遊んでいて、大人とは違う「その子なりの理屈」に驚いたことはありますか?
答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。
覚えるのはこの3つ
- ピアジェの4段階:感覚運動期、前操作期、具体的操作期、形式的操作期
- 感覚運動期に対象の永続性が育ち、前操作期はごっこ遊びが盛んで保存はまだ難しい
- 年齢は目安。後の研究では、より早くできることや連続的な変化も示されている
TERMSこのレッスンの用語
見えなくなったものも、存在し続けていると分かること。ピアジェの感覚運動期に育つ。
見た目や形が変わっても、何も足したり取ったりしなければ量や数は変わらないと分かること。ピアジェの具体的操作期に獲得される。
ピアジェが前操作期の特徴とした、自分以外の人の視点に立って考えることが難しい状態。
LESSON 7-3 の確認
確認問題(全3問)
本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。
Q1. ピアジェの発達段階で、誕生から2歳ごろにあたるのはどれでしょう?
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正解: 2. 感覚運動期
正解は「感覚運動期」です。感覚と動きを通して世界を知る時期で、対象の永続性が育ちます。
Q2. 前操作期の子どもについて、ピアジェの考えに合うものはどれでしょう?
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正解: 3. 言葉やイメージで物事を表せるようになり、ごっこ遊びが盛んになる
正解は3つめです。保存の理解は具体的操作期、抽象的な思考は形式的操作期の特徴です。
Q3. 8か月のDくんの目の前で、ボールを布で隠しました。Dくんは布をめくってボールを取り出しました。この姿から考えられることはどれでしょう?
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正解: 1. 見えなくなったボールも、存在し続けていると分かり始めている
正解は1つめです。隠れたものを探す姿は、対象の永続性が育っている表れと考えられます。感覚運動期の大切な育ちです。