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第6章 社会的養護 ・ レッスン6-3

施設で働く保育士の仕事は?子どもの権利を守るしくみ

約5分 ・ 公開日 2026-10-05

このレッスンの問い

施設で暮らす子どもが、もし施設の大人からつらい扱いを受けたら、誰が気づき、どう守ると思いますか?

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

前のレッスンの復習(1問)

本文に入る前に、前のレッスンを思い出してみましょう。

レッスン6-2から

Q1. 前のレッスンの復習です。児童福祉法第41条で、児童養護施設が対象とする子どもとして正しいものはどれでしょう?

答えを見る

正解: 1. 保護者のない子どもや、虐待されている子どもなど
正解は「保護者のない子どもや、虐待されている子どもなど」です。児童養護施設は、環境上養護が必要な子どもを入所させて養護します。

子どものことで心配なときの相談先

この講座は学習用で、個別のケースの判断はできません。虐待かもしれないと思ったときや、子育てに悩んだときは、次の公的な窓口に相談できます。確信がなくても相談できます。

命の危険があるときは110番に連絡してください。出典: こども家庭庁「児童相談所 虐待対応ダイヤル189」、こども家庭庁「親子のための相談LINE」

01児童養護施設の保育士:生活をともにして育ちを支える

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第42条は、児童養護施設に保育士や児童指導員などを置くよう定めています。

ほかに、嘱託医、個別対応職員、家庭支援専門相談員、栄養士または管理栄養士、調理員を置きます。乳児が入所している施設には看護師も置きます。

児童指導員と保育士は、合わせて人数の基準があります。たとえば3歳以上の幼児はおおむね4人に1人以上、少年はおおむね5.5人に1人以上です。少年とは、小学校に入ってから18歳になるまでの子どもです(児童福祉法第4条)。

基準第44条は、養護の目的を、子どもの心身の健やかな成長と自立を支えることとしています。そのために、安定した生活環境を整え、生活指導・学習指導・職業指導・家庭環境の調整を行います。

02被措置児童等虐待:施設の中の虐待も防ぐ

児童福祉法は、施設職員や里親などが、預かっている子どもに虐待をすることを禁じ、見つけた人に通告を義務づけています(第33条の10〜第33条の12)。

施設職員や里親などが、入所している子どもや委託された子どもに行う虐待を、被措置児童等虐待と呼びます。暴行、わいせつな行為、著しい養育の放棄、著しい暴言などの4つが定められています(第33条の10)。対象の職員には保育所の職員も含まれます。

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第9条の2も、施設の職員に、入所中の子どもへのこうした行為や、心身に有害な影響を与える行為を禁じています。

被措置児童等虐待を受けたと思われる子どもを見つけた人は、速やかに都道府県知事または市町村長に通告しなければなりません(第33条の12)。子ども自身も、虐待を受けたときは届け出ることができます。

守秘義務の規定は、通告を妨げるものと解釈してはならないとされています(虚偽や過失によるものを除く)。施設職員等は、通告したことを理由に、解雇などの不利益な取扱いを受けません。

03退所したあとも支える:自立のための援助

児童養護施設の目的には、退所した人への相談その他の自立のための援助が含まれています(児童福祉法第41条)。

施設を出たあとも、困ったときに相談できる場所があることは大切です。退所した人への援助は、乳児院や母子生活支援施設など、ほかの施設の目的にも書かれています。

児童自立生活援助事業は、措置を解除された人などが共同生活を送りながら、相談や生活指導、就業の支援を受けられる事業です(第6条の3第1項)。共同生活の住居は、自立援助ホームと呼ばれます。

対象は、義務教育を終えた20歳未満の人が基本です。高校生や大学生などで、やむを得ない事情があると都道府県知事が認めれば、20歳以上でも利用できます。

行為内容
身体への暴行子どもの身体に外傷が生じる、または生じるおそれのある暴行を加える
わいせつな行為子どもにわいせつな行為をする、またはさせる
養育の著しい怠り著しい減食や長時間の放置、ほかの子どもによる虐待の放置など
心理的に傷つける言動著しい暴言や著しく拒絶的な対応など
被措置児童等虐待にあたる4つの行為(児童福祉法第33条の10をもとに作成)

あなたの場合は?

子どもが「この大人には本当のことを話せる」と感じるのは、相手がどんな関わり方をしてくれるときでしょうか?

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. 児童養護施設には保育士を置く。養護は子どもの心身の健やかな成長と自立を支えるために行う(基準第42条・第44条)
  2. 施設職員や里親などによる被措置児童等虐待は禁止。見つけた人には通告の義務がある(第33条の10〜第33条の12)
  3. 通告した職員は不利益な取扱いを受けない。施設は退所した人の自立も援助する(第41条)

TERMSこのレッスンの用語

被措置児童等虐待Abuse of children in care

施設職員や里親などが、入所している子どもや委託された子どもなどに行う、暴行・わいせつな行為・著しい養育の怠り・著しい暴言などの行為(児童福祉法第33条の10)。

児童自立生活援助事業Independent living assistance program

措置を解除された人などが共同生活を送りながら、相談や生活指導、就業の支援を受けられる事業(児童福祉法第6条の3第1項)。住居は自立援助ホームと呼ばれる。

退所者への自立の援助Aftercare for care leavers

児童養護施設などが、退所した人に行う相談その他の援助。児童福祉法第41条などで施設の目的に含まれている。

LESSON 6-3 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第42条で、児童養護施設に置かなければならないとされている職員はどれでしょう?

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正解: 1. 保育士
正解です。第42条は、児童養護施設に児童指導員・嘱託医・保育士・個別対応職員・家庭支援専門相談員などを置くよう定めています。

Q2. 被措置児童等虐待を受けたと思われる子どもを見つけた人の義務として、児童福祉法が定めているのはどれでしょう?

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正解: 2. 速やかに都道府県知事または市町村長に通告する
惜しかった人も大丈夫です。第33条の12は、見つけた人に、速やかに都道府県知事または市町村長へ通告する義務を定めています。

日常の場面で考える

Q3. 児童養護施設で働く保育士のJさんは、同僚が入所児童に著しい暴言を繰り返すのを見ました。別の職員から「通告したら、あなたが職場にいられなくなるよ」と言われています。適切な考え方はどれでしょう?

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正解: 2. 通告した職員は不利益な取扱いを受けないと法律で定められているので、速やかに通告する
ここがポイントです。著しい暴言は被措置児童等虐待にあたります。施設職員等は、通告したことを理由に解雇などの不利益な取扱いを受けません(第33条の12)。

レッスン6-3はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第6章 社会的養護 のレッスン一覧
  1. 6-1社会的養護とは
  2. 6-2里親と施設
  3. 6-3施設の保育士と権利擁護

講座の目次(全12章)へ

出典(3件)
  1. e-Gov法令検索「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」(第9条の2・第42条・第44条)
  2. e-Gov法令検索「児童福祉法」(第4条・第6条の3第1項・第33条の10〜第33条の12・第41条)
  3. こども家庭庁「社会的養護の施設等について」(児童自立生活援助事業の概要)