HOME / ゼロから学ぶ保育士 / 講座 / 第4章 子ども家庭福祉 / 権利条約とこども基本法

第4章 子ども家庭福祉 ・ レッスン4-2

子どもの権利条約の4つの原則と、こども基本法

約5分 ・ 公開日 2026-10-05

このレッスンの問い

子どもに関わることを大人が決めるとき、子どもの意見を聞く必要があると思いますか?

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

前のレッスンの復習(1問)

本文に入る前に、前のレッスンを思い出してみましょう。

レッスン4-1から

Q1. 前のレッスンの復習です。児童福祉法第3条は、第1条と第2条をどう位置づけているでしょう?

答えを見る

正解: 1. 子どもの福祉を保障するための原理
正解は「原理」です。第3条は、第1条と第2条を子どもの福祉を保障するための原理とし、子どもに関するすべての法令の施行で常に尊重されなければならないと定めています。

子どものことで心配なときの相談先

この講座は学習用で、個別のケースの判断はできません。虐待かもしれないと思ったときや、子育てに悩んだときは、次の公的な窓口に相談できます。確信がなくても相談できます。

命の危険があるときは110番に連絡してください。出典: こども家庭庁「児童相談所 虐待対応ダイヤル189」、こども家庭庁「親子のための相談LINE」

01子どもの権利条約:子どもは権利の主体

子どもの権利条約は、子どもを、守られるだけでなく権利を持つ主体ととらえる国際条約です。

正式な名前は「児童の権利に関する条約」です。1989年に国連総会で採択され、日本は1994年に批准しました。日本ユニセフ協会の解説では、196の国と地域が締約しています。

この条約は、子どもを「弱くて守られる存在」とだけ見る考え方を変えました。子どもも一人の人間として権利を持つ、つまり権利の主体だという考え方です。成長の途中で保護や配慮が必要な、子どもならではの権利も定めています。

02条約の4つの原則

条約の基本的な考え方は、差別の禁止、子どもの最善の利益、生命・生存及び発達に対する権利、子どもの意見の尊重の4つの原則で表されます。

差別の禁止は、人種や国籍、性、障がい、経済状況など、どんな理由でも差別されないことです。子どもの最善の利益は、子どもにとって最もよいことを考えることです。

生命、生存及び発達に対する権利は、命を守られ、成長できることです。子どもの意見の尊重は、子どもが意味のある参加ができることです。

4つの原則は、それぞれが条文に書かれた権利です。同時に、あらゆる子どもの権利の実現を考えるときの土台でもあります。

03こども基本法:原則を国内の法律に

こども基本法は、日本国憲法と子どもの権利条約の精神にのっとり、こども施策の基本理念などを定めた法律で、2023年4月1日に施行されました。

こども基本法は令和4年(2022年)6月に成立し、令和5年(2023年)4月1日に施行されました。この法律で「こども」とは、心身の発達の過程にある者をいいます(第2条)。年齢での区切りは書かれていません。

第3条は6つの基本理念を定めています。差別的取扱いを受けないこと、意見を表明する機会と社会参加の機会の確保、意見の尊重と最善の利益の優先などです。条約の4つの原則と重なる内容です。

第11条は、国と地方公共団体に、こども施策をつくり、実施し、評価するときに、こどもなどの意見を反映させるための措置を求めています。

4つの原則意味こども基本法第3条の近い基本理念
差別の禁止どんな理由でも差別されない第1号:差別的取扱いを受けることがないようにする
子どもの最善の利益子どもにとって最もよいことを考える第4号:最善の利益が優先して考慮される
生命、生存及び発達に対する権利命を守られ、成長できる第2号:健やかな成長・発達などの福祉に係る権利が等しく保障される
子どもの意見の尊重意味のある参加ができる第3号・第4号:意見を表明し、参画する機会の確保と、意見の尊重
4つの原則と、こども基本法第3条の基本理念(日本ユニセフ協会の解説とe-Gov法令検索の条文をもとに作成。対応づけはこの講座による)

あなたの場合は?

最近、身近な子どもに関わることを決めたとき、その子の意見を聞く場面はありましたか?

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. 子どもの権利条約は1989年に国連総会で採択、日本は1994年に批准。子どもは権利の主体
  2. 4つの原則は、差別の禁止・子どもの最善の利益・生命、生存及び発達に対する権利・子どもの意見の尊重
  3. こども基本法は2023年4月1日施行。「こども」は心身の発達の過程にある者

TERMSこのレッスンの用語

権利の主体Rights holder

権利を持つ存在のこと。子どもの権利条約は、子どもを守られるだけでなく、権利の主体ととらえる。

こども施策Policies for children

こどもの健やかな成長への支援、子育てへの支援、こどもの養育環境の整備など、こどもに関する施策(こども基本法第2条)。

LESSON 4-2 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. 子どもの権利条約の4つの原則に含まれないものはどれでしょう?

答えを見る

正解: 3. 保護者の利益の優先
正解です。4つの原則は、差別の禁止、子どもの最善の利益、生命・生存及び発達に対する権利、子どもの意見の尊重です。優先して考えるのは、保護者ではなく子どもの最善の利益です。

Q2. こども基本法で「こども」はどう定義されているでしょう?

答えを見る

正解: 2. 心身の発達の過程にある者
惜しかった人も大丈夫です。こども基本法第2条は、こどもを「心身の発達の過程にある者」と定めています。満18歳に満たない者は、児童福祉法の児童の定義です。

日常の場面で考える

Q3. 年長クラスで、園の夏祭りの出し物を決めることになりました。子どもの権利条約の原則に最も合う進め方はどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 子どもの思いを聞き、話し合いに参加できるようにする
ここがポイントです。子どもの意見の尊重は、子どもが意味のある参加ができることです。一部の子の声だけで決めると、ほかの子の意見が尊重されません。

レッスン4-2はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第4章 子ども家庭福祉 のレッスン一覧
  1. 4-1児童福祉法の原理
  2. 4-2権利条約とこども基本法
  3. 4-3児童虐待の4つの種類
  4. 4-4通告のあとの流れ
  5. 4-5保育の必要性の認定

講座の目次(全12章)へ

出典(4件)
  1. 日本ユニセフ協会「子どもの権利条約の考え方」(4つの原則)
  2. 日本ユニセフ協会「子どもの権利条約の歴史」(1989年採択、日本は1994年批准)
  3. e-Gov法令検索「こども基本法」(第1条〜第3条・第11条・附則)
  4. こども家庭庁「こども基本法」