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第12章 保育の現場の課題 ・ レッスン12-2保育所での虐待をどう防ぐ?通報義務と日々の振り返り
約5分 ・ 公開日 2026-10-06
このレッスンの問い
保育士が子どもへの接し方に迷ったとき、それが虐待にあたるかどうかは、誰がどうやって判断すると思いますか?
読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。
前のレッスンの復習(1問)
本文に入る前に、前のレッスンを思い出してみましょう。
Q1. 前のレッスンの復習です。令和6年度に改められた、4・5歳児の保育士の配置基準はどれでしょう?
答えを見る
正解: 1. 30対1から25対1へ
正解は30対1から25対1へです。3歳児は同じ年度に20対1から15対1へ改められました。1歳児は加算で5対1以上への改善を後押ししています。
子どものことで心配なときの相談先
この講座は学習用で、個別のケースの判断はできません。虐待かもしれないと思ったときや、子育てに悩んだときは、次の公的な窓口に相談できます。確信がなくても相談できます。
- 児童相談所 虐待対応ダイヤル 189(いちはやく。近くの児童相談所につながります。通話料無料・匿名で相談でき、秘密は守られます。一部のIP電話からはつながりません)
- 親子のための相談LINE(子育てや親子関係の悩みを、親も子どももLINEで相談できます。こども家庭庁の案内)
命の危険があるときは110番に連絡してください。出典: こども家庭庁「児童相談所 虐待対応ダイヤル189」、こども家庭庁「親子のための相談LINE」
01令和7年10月から:保育所等にも通報義務
児童福祉法等の改正で、令和7年10月1日から、保育所等の職員による虐待を見つけた人には、都道府県や市町村への通報が義務づけられました。
児童養護施設などの職員による虐待には、以前から通報義務の仕組みがありました。改正(令和7年法律第29号)により、保育所等にも同じ仕組みが設けられました。対象には、保育所、認定こども園、幼稚園、認可外保育施設、一時預かり事業などが含まれます。
虐待は、身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待の4つと定められています(第33条の10)。見つけた人は速やかに通報します。条文では「通告」という言葉が使われています(第33条の12)。
通報を受けた自治体は事実を確認し、必要な措置をとります。都道府県は毎年度、虐待の状況をウェブサイトで公表します。
02「不適切な保育」から「虐待」を軸にした考え方へ
令和7年8月に改訂された国のガイドラインは、「不適切な保育」という言葉を使わず、「虐待」を軸に対応を整理し直しました。
令和5年5月の最初のガイドラインは、「不適切な保育」を虐待等が疑われる事案ととらえていました。改訂版は、一つひとつは虐待に当たらない行為でも、改善されずに繰り返されれば虐待になりうるとしています。つまり、日々の行為の延長に虐待があるという考え方です。
虐待かどうかは、まず行われた行為そのもので判断します。それだけで判断できないときは、行為の強さや頻度、保育士の意図、子どもへの影響を考えます。
虐待に当たらない行為なら改善しなくてよい、という意味ではありません。より良い保育に向けた振り返りを続けることが大切だとしています。
03防ぐしくみ:振り返りと相談しやすい職場
ガイドラインは、職員一人ひとりと施設単位での日々の振り返りと、子どもの人権を尊重する意識の共有を、防止の柱にしています。
振り返りでは、「子どもにとってどうなのか」という視点で考えます。チェックリストを使い、職員同士のミーティングで率直に話し合います。施設長には、話し合いの場をつくり、相談しやすい職場環境を整えることが求められます。
ガイドラインは、職場環境も虐待が起きる要因になりうるとしています。施設が組織として対応しないときは、一人で抱え込まず、市町村などの窓口に相談します。通報した職員は、通報を理由に解雇などの不利益な取扱いを受けません(第33条の12第6項)。
| 段階 | 考えること |
|---|---|
| 1. 行為そのもの | 行われた行為だけで虐待と判断できるか |
| 2. 強さ・頻度 | 行為の強さや、繰り返された頻度から判断できるか |
| 3. 行為以外の要素 | 保育士の意図、子どもの状況や子どもへの影響を考える |
| 4. その後の対応 | 行為をした職員への対応や施設への処分を検討する。職場環境も考慮する |
あなたの場合は?
あなたが職場で「この接し方は子どもにとってどうだろう」と感じたとき、気軽に話せる相手は思い浮かびますか?
答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。
覚えるのはこの3つ
- 令和7年10月1日から、保育所等の職員による虐待を見つけた人には通報義務がある
- 改訂ガイドラインは「不適切な保育」を使わず、「日々の行為の延長に虐待がある」と考える
- 防止の柱は日々の振り返りと、相談しやすい職場。通報を理由に不利益な取扱いは受けない
TERMSこのレッスンの用語
保育所等の職員が、通う子どもに行う身体的虐待・性的虐待・ネグレクト・心理的虐待。令和7年10月1日から、見つけた人に通報義務がある(児童福祉法第33条の10・第33条の12)。
こども家庭庁などが示す「保育所や幼稚園等における虐待の防止及び発生時の対応等に関するガイドライン」。令和5年5月に策定され、令和7年8月に改訂された。
LESSON 12-2 の確認
確認問題(全3問)
本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。
Q1. 保育所等の職員による虐待について、見つけた人の通報義務が設けられたのはいつからでしょう?
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正解: 2. 令和7年10月1日
正解は令和7年10月1日です。令和5年5月は、最初のガイドラインが出された時期です。
Q2. 令和7年8月に改訂されたガイドラインの考え方として、正しいものはどれでしょう?
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正解: 2. 「不適切な保育」という言葉を使わず、日々の行為の延長に虐待があると考える
ここがポイントです。改訂版は「虐待」を軸に整理し直しました。まず行為そのもので判断し、意図や子どもへの影響は、それだけで判断できないときに考えます。
Q3. あなたは保育士です。同僚が、食べるのを嫌がる子に毎日のように大声で注意し、無理に食べさせています。園長に話しましたが、園として何もしてくれません。ガイドラインに沿う行動はどれでしょう?
答えを見る
正解: 2. 一人で抱え込まず、市町村などの窓口に相談・通報する
惜しかった人も大丈夫です。施設が組織として対応しないときは、一人で抱え込まず自治体に相談します。通報を理由に解雇などの不利益な取扱いを受けることはありません。